オペレーション科学
第1章 オペレーション序論
Section titled “第1章 オペレーション序論”- 働く時間や戦力といった使えるリソースが限られている中で、大金星を上げるような大きな成果を出すには、努力ではなく卓越したオペレーションが必要
- どの業種・業界にも応用できる「万能なオペレーション」が存在しないのは、個々の組織、個人に変数が多く存在するうえ、それぞれ「重力」が働いているため。卓越したオペレーションを得るには、個人のコツや勘、経験に頼るのではなく、まず、今あるオペレーションを可視化することが重要
- 可視化するプロセスを正しく辿れば、業界に精通した人でも気づけないような、現行のオペレーションの課題や法則を見つけることができる。そして、それがオペレーション改善への唯一の足がかりとなる
- テクノロジーの発展が著しい今は、かつて記録と可視化により進化したスポーツのように、ビジネスにおけるオペレーションが進化、多様化する転換期でもある
- かつて日本は世界的に見てもまれな、オペレーションを磨きやすい環境にあった。しかし、前提となる労働環境や、社会的風潮が大きく変わり、より短時間で大きな成果を出す必要が出てきた。これを実現するためには、生産性向上、ひいてはオペレーションの進化が必須課題
第2章 オペレーション原論
Section titled “第2章 オペレーション原論”- 判断 = 情報 × 判断力。正しい判断や意思決定は、正しい情報、判断材料と正しい判断力をもとにして生まれるもの。正しい判断力を持っていても判断材料が不充分だと、間違った判断をしてしまう
- アウトプットを得るために、インプットを投じることで、オペレーションが発生する。そしてこれがうまく機能しているかどうかを測る指標として、パフォーマンスが存在する
- 誰の何をどうしたいがためにそのオペレーションは存在するのかを掘り下げないまま、オペレーションを変えてしまうことは、改善のつもりでいても、改悪になってしまう可能性がある
- どの現場にも適用するオペレーション分解方法はないが、専従時間/非専従時間、付加価値作業/間接作業、緊急度・重要度マトリックスなどの作業分解の考え方を知ることは、どんな現場でも対応できる応用力を身につけることでもある
- すべてのオペレーションに共通する原則は、作用している重力を知り、重力に寄り添うこと。もし重力に抗う必要があるのであれば、そこにはコストが伴うことを忘れてはいけない
- 市場や社会など環境の変化に応じて、最適なオペレーションは変化していくもの。普遍的でもっとも効果的な「オペレーションの正解」のようなものは存在しない
組織にはその組織にしかない独自の重力がある。すべてのオペレーションは重力に従う。無自覚のうちに特定の方向に体や心が向いてしまう見えない重力がどこにあるかを見つけることが重要です。繰り返し教育されてきた行動や考え方、無意識のうちに働く人に浸透し、習慣や癖となって現れる、それが重力。重力にあらがわないためには、身体機能に着目して、疲れにくく作業がスムーズにできる道具や設備を導入する必要があります。
第3章 オペレーション設計図
Section titled “第3章 オペレーション設計図”- パフォーマンスを定義し、これを高める要件を列挙して、要件を満たす手段を組み立てる。これによってオペレーションは組み上がる。このステップを踏まずに手段のみを追求するのは科学的とはいえない
- パフォーマンスを定義することによって、気づきの量が増え、アウトプットの質が高まる。しかしその数はアウトプットへの影響度合いに応じて絞る必要性がある
- 組織におけるオペレーションは、優秀な一人だけが実行できても意味がない。全員が同じように再現できるよう、オペレーションの難易度を下げることが重要
- 再現性を高め、オペレーショナル・エクセレンスをめざすために、トレーニング方法を定めること、そしてトレーニング内容へのフィードバックを定期的に実行することが大事
- 組織の暗黙知を形式知化した先に見つかりやすいのがプロセス KPI。「何をプロセス KPI としているか」は、何にも代えがたい組織の財産である
- テクノロジーの進化によって、取得できるデータの数が増え、質が高まった。このため、これからの日本社会で、組織のアウトプットを大きく左右する KPI データの取得にテクノロジーを活用しない手はない
第4章 オペレーション活用論
Section titled “第4章 オペレーション活用論”- 個人における課題解決策の有効な方法は大きく二つあり、一つが可視化する視点を持つこと。もう一つが時間管理という視点を持つこと
- 求めるアウトプットがあるのならば、その実現に向けてオペレーションを稼働させるため、パフォーマンスを定義し、このために時間というインプットを投じなくてはいけない
- 時間は長ければ長いほどよいというわけではなく、その投じる先が重要。重要度が高く、緊急度の低い「第 II 領域」に時間を使わなくてはいけない。もし、「そんな時間がない」と嘆くなら、1日の 43% を占めるといわれる無意識の習慣実行の時間を有効活用するとよい
- 第 II 領域の行動に時間を投じることがどうしても難しいのなら、その行動を短時間で区切るなどしてハードルを著しく下げることが有効。この判断を意志の強弱やモチベーションの高低という定性的なものに任せるのは難しい
- 自分の実感と周囲の評価が伴わない場合は、パフォーマンスを定義し、これを高めるため何にどれだけ時間を投じてどんな結果が得られたかを数値化してみる
第5章 オペレーションの可能性
Section titled “第5章 オペレーションの可能性”- サービス業や医療・介護の現場など、オペレーションの科学が進んでいない現場や、オペレーションが磨かれづらい業界にもオペレーションの思考プロセスは応用できる。そしてテクノロジーの進化とともに、徐々にオペレーション科学の第一歩である可視化への取組みがはじまりつつある
- オペレーションの科学が進んでいない現場においては、目的の前に手段が論じられることが多いが、パフォーマンスを明確に定義しなければ、その手段が有効であるかどうかが不透明となり、徒労に終わる危険性もある
- 医療や介護の現場は人の命に対して強力な重力が作用しており、このために犠牲となっている部分も多い。その代表格である医師や看護師の労力(コスト)を可視化することは重要課題である
- コロナ禍を経て、数々の人や組織が生き残りをかけて自分や自組織に変化を強いている今は、変わることへの抵抗感が低くなっているタイミング。これまでの轍(わだち)からはずれ、オペレーションを磨くという変革へ足を踏み出す好機である